UMEZAWA HIDEKI
YOYOGI BOTANICAL PATTERNS
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UMEZAWA HIDEKI
YOYOGI BOTANICAL PATTERNS
これらのイメージは、日本の植物学者・牧野富太郎博士(1862-1957)が、100年以上前に渋谷・代々木で採集・収集した植物標本を基にしています。標本には、現在では同地区で既に絶滅してしまった種や絶滅危惧種などが含まれています。学術的な情報が抜き出され、サイアノタイプのような植物のかたちにまで還元されたイメージには、牧野博士が直筆で記した日付や採集場所などの情報だけが残されています。
かつてこの地には数多くの野草や樹木が息づいており、それらを丹念に記録・収集した牧野博士の足跡は、時間の流れとともに変化し続ける都市環境の一断面を映し出していると考えられます。
時代を超えて自然や植物を観察、再発見することは、人と自然の関係性を見つめ直す手がかりとなるのではないでしょうか。都市化とともに失われ、現在では目にすることができなくなった植物たちが、静かに語りかけます。
協力 : 東京都立大学 牧野標本館
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梅沢英樹
1986年群馬県生まれ、東京藝術大学大学院美術研究科修了。環境の中で知覚する前言語的な感覚や、自然現象の複雑性への関心をもとにサウンド、写真などを用いた制作を行なう。
近年の主な展示に「タイランド・ビエンナーレ コラート」(2021)、「すべてのものとダンスを踊って―共感のエコロジー」(金沢21世紀美術館、2024)、「モノのエコロジー」(パリ日本文化会館、2025)など。