KOYAMA TAISUKE
TRACES
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KOYAMA TAISUKE
TRACES
本作「TRACES」は、新有楽町ビルの屋上で採集したヘドロや土をサイアノタイプと呼ばれる古典技法で定着させることによって、近代の都市空間において不可視化・潜在化されてきた「土」の存在を可視化した作品です。かつて新有楽町ビルの屋上には小さなビオトープがありました。そこは新国際ビルの屋上に今もあるビオトープとも関係しながら、皇居の森から銀座方面へ、さらには東京湾へと続く目には見えない自然の回廊として機能していました。自然の現象は都市環境にも等しく影響し、代謝や循環の力学は常に存在していますが、多くの人びとでにぎわう丸の内仲通りの頭上にも鳥や虫たちが行き交い、池の中では植物や有機物からヘドロや土が生まれていたのです。「ビルの屋上で土が生まれる」という現象に着目した小山は、YAU STUDIOにヘドロや土、落ち葉を持ち込み、有楽町ビルの窓辺に降り注ぐ朝の光で一連のサイアノタイプ作品を制作しました。
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小山泰介
写真家/TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH代表。東京出身。2014年から4年間、ロンドンとアムステルダムを拠点に活動し、現在は東京在住。生物学や自然環境について学んだ経験を背景に、実験的なアプローチによって制作された写真作品や映像作品、インスタレーションを発表している。近年の展覧会に、NEW ANXIETIES (N/A & FF Seoul、ソウル、2025)、スイス・日本国交樹立160周年記念写真展SUPER NATURAL!(YAU CENTER、東京、2024)、個展 UNIVERSAL FLOWING(THE FLOW、大阪、2024)他、国内外の芸術祭や美術館、ギャラリーなどでの展覧会多数。2013年度文化庁新進芸術家海外研修員。女子美術大学非常勤講師。