KOYAMA TAISUKE
POLYSEMIC FUNDUS / SEOUL
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KOYAMA TAISUKE
POLYSEMIC FUNDUS / SEOUL
約6年ぶりにソウルを再訪した私の目を捉えたのは、街中に点在するLEDサイネージの量と大きさだった。昼も夜も、サイネージからは常に蒸気のように情報が放出されていた。それは広告というにはあまりにも巨大で、さながら都市の表面を情報の層が覆っているかのようだった。私たちを取り巻くイメージによって、私たちの欲望が喚起されている。根拠のない羨望や渇望が、私たちの心の隅に居座っている。都市の表層から、巨大な眼が、柔らかい視線が、強い眼差しが私たちに向けられている。『POLYSEMIC FUNDUS / SEOUL』は、初めて海外の都市にインスパイアされて制作した作品。写真のプリント、窓のように丸い穴が空いたプリント、丸く切り抜かれたその欠片、それらすべてを覆うようにプロジェクションされた写真、それらを複層的に重ね、視野とフレームによって生み出される無数のレイヤーに現れる現象を、ひとつの場に、一瞬だけ共存させることによって新たなイメージを生み出すことを試みた。また、『UNTITLED (AIR)』は、都市空間で無意識のうちに私たちに働きかける情報の源泉を可視化するために、断片化と抽象化、そして時間の操作によってイメージを変換した映像作品。
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小山泰介
写真家/TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH代表。東京出身。2014年から4年間、ロンドンとアムステルダムを拠点に活動し、現在は東京在住。生物学や自然環境について学んだ経験を背景に、実験的なアプローチによって制作された写真作品や映像作品、インスタレーションを発表している。近年の展覧会に、NEW ANXIETIES (N/A & FF Seoul、ソウル、2025)、スイス・日本国交樹立160周年記念写真展SUPER NATURAL!(YAU CENTER、東京、2024)、個展 UNIVERSAL FLOWING(THE FLOW、大阪、2024)他、国内外の芸術祭や美術館、ギャラリーなどでの展覧会多数。2013年度文化庁新進芸術家海外研修員。女子美術大学非常勤講師。