TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH

TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCHは、小山泰介・河原孝典・築山礁太の3名でリサーチと制作を行った。3日間の滞在では、きさいやロードを起点に宇和島城、道の駅、和霊神社、闘牛場を巡り、図書館で古地図や古写真を閲覧し、九島や遊子の段畑、細木運河にも足を伸ばした。きさいやロードは朝昼晩いつ歩いても穏やかな雰囲気が漂っており、宇和島のまち全体が海と山のあいだで静かに呼吸しているように感じられた。

真珠や真鯛の養殖、段畑の造成など、自然に手を加えることで文化を生み出してきた宇和島の人びとの歴史に強く惹かれた私たちは、宇和島産の加工品や貝殻を収集し、それらを手漉きの和紙へと変容させた。本作《OVERNATURE》は、和紙として平面に圧縮したマテリアルに写真を投影し、イメージと物質が重なり合った姿を撮影した作品である。この実験的な手法によって、新たな自然との繋がりを生み出すことができればと考えた。