YAMAMOTO HANA
Glow
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YAMAMOTO HANA
Glow
高速道路や交通渋滞は物の流れが光の動きとして可視化される場所である。車やタクシー、バスに乗車するたび、私は揺れ動く車内から見えた光の動きを捉えようとした。一方で、常に揺れ動くものを見ようとするとき、一つの景色を作り出そうとするほどに経験それ自体からは遠ざかっていく。私にとっての知覚とは、視覚だけではなく顔に当たった光の色温度や車内の暖房の肌触りといった、身体的で集合的な記憶であり、間伸びした時間である。この集合的な記憶に基づいて、撮影した複数の画像をより自分の知覚に近い形でオブジェクトに落とし込んでいる。このシリーズは世界の各都市で制作しており、今回展示している作品の一部は韓国で制作された。
私は物流ハブとしての役割を持つ東京郊外の土地で育った。国が変わろうとも、高速道路や空港、鉄鋼団地、港湾周辺の景色はある程度最適化されるがゆえに類似している。それらは決まって都市からひと回り離れた場所にある郊外のリミナルスペースであり、私にとって安堵感のある場所である。私は郊外を手触りが無い空虚なものではなく、むしろ人間が感覚器官としてどうあれるのかを考える環境として捉えている。
profile
山本華
アーティスト。1999年千葉県生まれ。ニューヨーク滞在を経て2022年に多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業。フィールドワークや日常的な経験から促される人間の変容を通して世界との接点を探索し、その知覚から作品を制作する。写真を基盤に現在は平面・映像・金属を中心に制作。主な展覧会に個展「Offset」(美學館 Philosopher’s Stone、韓国 2024)、「Anima in the fog」(Wall_Alternative、東京 2024)、「Encounters in Parallel」(ANB Tokyo、東京 2021)など。2023年、BWA Wrocław Galleries of Contemporary Art(ポーランド)によるアーティストレジデンス”Retreat Art Routes”に参加。