TSUKIYAMA SHOTA
As if seeing begins again: YSY, 2025
info
back
close
back
TSUKIYAMA SHOTA
As if seeing begins again: YSY, 2025
本作は、有楽町・新有楽町ビルのアーカイブ写真と、光の三原色(RGB)およびその補色からなる色面を重ねることで構成されています。ネガとポジは、写真において通常、記録とその媒介という非対称な関係にありますが、この作品では両者が物理的に重ねられ、画像編集ソフトウェアによる反転処理を経て、同一のイメージ空間に共存する構造がとられています。 この手法は、可視と不可視といった視覚の制度を撹乱する試みでもあり、像が立ち上がる以前の光の構造や、色が意味を持つ前の状態に眼差しを向ける装置として機能します。ポジとネガ、記録と色情報、実在と抽象といった異なるレイヤーが同時に立ち現れ、見るという行為そのものが揺らぎ、過去を見ているのか、未来を想像しているのか、あるいは今ここにある現在を感じているのか、その境界が曖昧になります。視線や意識そのものが、作品の中に潜む「見えなかった光」を浮かび上がらせる媒体となり、世界に対する自身の前提を静かに問い返すことになるのです。
アーカイブ写真提供:三菱地所株式会社
profile
築山礁太
写真家。1997年東京生まれ。2019年日本写真芸術専門学校卒業。
見ることへの関心から、道具(カメラ)によって新たに獲得できた視覚や自身の置かれる役割、知識、身体性などによって獲得する視覚について、平面や立体を扱いながら写真作品として展開している。
近年は狙撃と撮影の親和性をもとに、狙撃手と観測手が目標に対して行う観測、偵察、リサーチや戦術、偽装工作、カムフラージュなどの所作を撮影前後の過程で取り入れることにより、新たな視覚イメージの獲得を試みた作品制作をしている。
主な展覧会として、ENCOUNTERS (ANB TOKYO,東京,2020)、constellation #02 (rin art association, 高崎,2021)、P.O.N.D (PARCO MUSEUM TOKYO,東京,2021) 、EENT (POST-FAKE projects,東京,2023)、ATAMI ART GRANT 2023 (ATAMIX,熱海,2023)、New Anxiety (N/A & FF Seoul,ソウル,2025)がある。