KOBAYASHI NANAKO
風の下にて
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KOBAYASHI NANAKO
風の下にて
本作「Beneath the Wind|風の下にて」は、オフィス街・有楽町の特徴であるビル風をヒントに、「風」を都市における人と建築のあいだを流れる見えない気配として捉えました。撮影はすべて地下で行われ、そこでは地上にあふれる光や喧騒とは異なる、静謐で密度の高い空気が流れています。ポートレートに写る被写体は、風に揺らぐ人々の気配そのものであり、地下を歩く身体は、かつてこの土地を行き交った人びとの残像と重なっていきます。
都市という巨大な構造の中で、地下はしばしば「不在」として扱われます。しかしそこにも確かに風は吹き、時間が流れ、人が通った痕跡が積もっているのです。今作は、そうした「見えない場所」に眠る気配や記憶を仮囲いの中で掘り起こし、街と人の新たな対話のきっかけとなることを目指しています。
モデル:ハラサオリ
メイク:Yuko Aoi
アーカイブ写真提供:三菱地所株式会社
profile
小林菜奈子
2000年 福岡県生まれ。2022年東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。日常生活における些細な出来事をきっかけとし、ある日突然始まる妄想から一人遊びを行うように写真、音などを用いてインスタレーション作品を制作する。2021年よりGC magazineメンバーとして活動。主な展覧会に、境界が枠になるとき~When boundaries become frame~(チューリッヒ芸術大学、スイス、2020)、写真は変成する3 INTERPLAY on POST/PHOTOGRAPHY(京都芸術大学瓜生山キャンパス・ギャルリオーブ、京都、2023)、JAPAN PHOTO AWARD+INTUITION | 2023 (KYOTOGRAPHIE KG+、HOTEL ANTEROOM KYOTO | Gallery 9.5、京都、2023)、ここでブリンクを発動/~A journey for the place of trigger~(same gallery、東京、2024)がある。