KOYAMA TAISUKE
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KOYAMA TAISUKE
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絶え間ないスクラップ&ビルドによって、新陳代謝を繰り返す都市、東京。小山は変容しゆく都市の姿を撮影した写真のデータベースから、複数の異なる手法を用いて展開するシリーズ『PHASE TRANS』に2018年より取り組んでいる。今回はその中から、《REVIVE》、《BORDER》、《INTERFACE》という3つの作品を発表した。
《REVIVE》はその名の通り、蘇生された画像である。ハードディスクに保存した画像を意図的に消去し、データ復旧ソフトを用いて復元されたこの画像には、作為的には起こりえない画面構成やノイズ、変色が生じている。システム上の言語によって記述された画像としてのデータ。その消滅と再生のプロセスから生まれたほころびは、不可逆な都市の姿にも重なる。一方、《BORDER》は仮囲いフェンスや落下防止ネットなど、再開発の現場を覆うものの表面をクローズアップ撮影した作品である。小山はその撮影画像をモノトーンに加工し、抽象的な模様の連続へと変容させている。また《INTERFACE》では、東京で採集したブロック片を面的に並べ、そこに東京で撮影した写真を投影して再撮影している。さまざまな建材によって構築された都市のイメージは、投影面の凹凸や溝によって分断され、都市が内包する断絶とノイズを比喩的に示している。
こうした小山の実験的な取り組みは、今日のデジタル技術やメディア環境を通してみる都市の姿と、実存としての都市とのズレや矛盾を可視化している。
profile
小山泰介
写真家/TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH代表。東京出身。2014年から4年間、ロンドンとアムステルダムを拠点に活動し、現在は東京在住。生物学や自然環境について学んだ経験を背景に、実験的なアプローチによって制作された写真作品や映像作品、インスタレーションを発表している。近年の展覧会に、NEW ANXIETIES (N/A & FF Seoul、ソウル、2025)、スイス・日本国交樹立160周年記念写真展SUPER NATURAL!(YAU CENTER、東京、2024)、個展 UNIVERSAL FLOWING(THE FLOW、大阪、2024)他、国内外の芸術祭や美術館、ギャラリーなどでの展覧会多数。2013年度文化庁新進芸術家海外研修員。女子美術大学非常勤講師。